本記事は、2026年3月11日に米国本社のNewsRoomに掲載された「LED WALLS: STYLES, CABLING, AND LIVE VIDEO FOR TECHNICIANS」の完訳です。日本独自の加筆、修正を含みます。
現場でLEDウォールの構築、配線、トラブル対応を担当する場合、レンダリングだけでは不十分です。
Vectorworks Spotlight 2026のLEDビデオウォールツールは、機材をトラックに積み込む前に、パネルの選択、番号管理、および映像ソースの確認を行う手段を技術者に提供します。
LEDウォールスタイルを使用すると、ショーファイル(プロジェクトファイル)全体で壁の挙動を標準化できるため、個別設定の調整にかかる時間を減らすことができます。

スタイル内の各パラメータは、スタイルまたはインスタンス単位で設定できます。これにより、その値がスタイルを使用するすべての壁で固定されるか、またはオブジェクト情報パレット(OIP)で壁ごとに編集可能かが決まります。例えば、パネルタイプ、ジョイント制限、スタイルによるクラス分けはスタイル単位で固定しつつ、画像のオフセットやビデオ入力はインスタンス単位のままにして、配置ごとに調整できるようにすることが考えられます。
Vectorworksライブラリのデフォルトスタイルを基にして、それらを複製し、レンタル在庫や一般的な壁サイズ、常設のリグ(設備)に合わせて調整することができます。
例えばスラストステージ(張出ステージ)やBステージ(サブステージ)用の配置のため、特定の壁のみルールを変更する必要がある場合は、その壁を「スタイルなし」に変換し、ローカルな変更をすることで、ファイル内の他の壁に影響を与えることなく、局所的な変更を加えることができます。
リソースマネージャでスタイルを編集すると、そのスタイルを参照しているすべての壁が更新されるので、パネルタイプの切り替えや、デザイン全体に対する構造上の前提を調整する際に便利です。
LEDウォールの設定にあるデザインレイアウトセクションは、ツールの主な描画モードを反映していますが、実際のパネルと壁を正確に合わせるために調整する設定も用意されています。
アスペクト比は、わずかな誤差を許容することで、概念的な壁をパネルベースのレイアウトに変換しやすくし、壁の寸法がパネル全体のサイズにきれいに収まります。また壁の厚さは、リグやセット構造の設計で、奥行きを簡単に確保するための設定です。これはトラスの荷重や視線、バックステージのクリアランスを同時に調整する場合に役立ちます。

これらの設定は描画モードに連動しているため、LEDウォールのスタイルに含めることで、自社でよく使う動作パターンをあらかじめ組み込むことができます。例えば、標準の500mmパネル、特定のジョイント制限、そして一定の壁の厚みを設定して、常にビルダーモードから始まるスタイルを作成することができます。これにより、作成する新しい壁は、現場でスタッフが実際に構築する寸法にすでに近い状態になります。
すべてのLEDウォールのスタイルには、デフォルトの静止画像を含めることができるので、スケールやアスペクトをすぐに確認できますが、本当に技術的な価値が出てくるのは、ビデオソースの配線を始めるときです。画像設定では、デフォルトの静止画像を選択し、ピクセルピッチに基づいたスケールを設定して、画像をタイル状に並べるかどうかを決めます。また、全体のテクスチャは、ドキュメントビュー上で壁の側面や背面がどのようにレンダリングされるかを制御します。
通常は、スタイルでベース画像だけを設定し、ズレとタイリングの設定はインスタンス単位のままにしておくのが最適です。こうすることで、別の位置ごとに見た目を微調整しても、スタイルを新たに追加する必要がなくなります。
動画再生では、各壁がファイルベースのクリップ、キャプチャデバイス、またはNDIストリームのいずれかから信号を受信するかを設定することができます。ローカルのビデオファイルは、プリビジュアライゼーションやオフラインのチェックに最適ですが、プロジェクトが別のマシンに移行する場合は、これらのファイルを再マッピングする必要があることに注意してください。
キャプチャ入力やNDI入力は、実際のショーシステムをより正確に反映するものとなります。ビデオソースを選択コマンドを使用すると、各LEDウォールを特定の入力に割り当てることができ、Showcaseパレットで、会場に到着する前からVectorworksがNDIストリームを認識できていることを確認することができます。
Showcase が動作している状態では、マッピングされたファイルやライブ映像が、Vectorworks Spotlightモデル内の壁に直接再生されるため、ルーティングや基本的な見た目を確認することができます。
LEDウォールの技術的なプランニングでは、現場でのケーブル配線方法に対応した、整理されていて予測しやすい番号付けが重要になります。
データ、電源、番号付けのセクションでは、対象のパラメータとして、パネルID、データ回路名、または電源回路番号のいずれかを選択します。開始値と増分を指定し、壁面上で番号がどのような経路で振られていくかを定義する方向パターンを選ぶだけで設定できます。プレビューにより、その番号パターンが、実際にケーブルを引きたい配置と一致しているかどうかを、スキームを確定する前に確認することができます。
データチェーンをモデル化するには、2段階で考えると役立ちます。まず、パネルをユニット数が多いデータ回路名に割り当てることで、パネルをラン(配線区間)ごとにグループ化することができます。これにより、壁を実質的にセグメントに分割し、プロセッサの出力と一致する形にすることができます。次に、そのグループ内でデータ回路番号を割り当て、リスタート制限を設定して、各実行の終わりで番号が正しくリセットされるようにします。

電源分配についても、好みのフィードサイズを使用して同じ手順を繰り返すことができ、他の壁の属性を乱すことなく、いつでも番号を再設定し直すことができます。これにより、プロセッサの割り当てや電源プランが変更されたときでも柔軟に対応しやすくなります。
データタグは、LEDウォールのオブジェクトや個々のパネルから値を取得する動的なラベルとして機能し、データが変更されてもそのリンクは維持されます。技術者にとっては、これによりパネルに電源およびデータの識別番号をタグ付けしておけば、設計を変更してもそのラベルは正しいまま維持され、信頼できるということになります。タグの向きは上部(平面)、前面、背面ビューのいずれかに設定でき、またグリッド上に配置することで、パネルごとの情報が印刷されたプランやPDFでも読みやすい状態のままになります。
実用的なアプローチとして、配線用にパネルごとに2つのタグを使用する方法があります。一方には電源またはデータを示す単純なアイコンを表示し、もう一方には実際の回路テキストを表示して、視認性を高めるため、2つのタグを対角の角に配置します。
それらのタグと動的なデータの可視化を組み合わせることで、データ回路名や電源グループを色でマッピングすることができ、割り当てが間違っているパネルや途切れた配線順序を発見しやすくなります。
スタイル内でパネル、サポート、注釈のクラス割り当てを標準化することで、これらのビジュアル情報が予測可能なクラスに割り当てられ、クリーンなビューフィルター、シートレイヤのビューポート、そして制作チーム全体のエクスポート作業のワークフローをサポートすることができます。