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2026年3月24日  |  建築

BIMとは何か、なぜそれが重要なのか?


Alex Altieri

本記事は、2024年8月16日に米国本社のNewsRoomに掲載された「WHAT IS BIM AND WHY IS IT IMPORTANT?」の完訳です。日本独自の加筆、修正を含みます。


ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)は、建築・エンジニアリング・建設(AEC)業界における重要なワークフロー・プロセスです。3Dモデルと共有データ環境を活用することで、BIMのワークフローは建物の設計・施工・管理に対して包括的なアプローチを可能にします。

多くのAEC専門家は、BIMをCAD(computer-aided design)の自然な後継と考えています。CADは建築プロジェクトのデジタル化への最初の一歩でしたが、現在では、BIMがそのデジタル化をさらに何段階も先へと進めています。

BIMは、設計者がデータと3Dモデリングを活用して、建物をよりわかりやすく説明できるようにします。これにより、透明性が高く効果的なコラボレーションが促進され、プロジェクトのコストと工期の削減、設計品質と建物の安全性の向上、そして施設管理の最適化が実現します。

BIM初心者ガイドの第1章では、BIMとは何か、そしてなぜ現代の実務においてそれが重要なのかについて、さらに詳しく学ぶことができます。また、BIMの歴史<その進化の過程と今後の展望>についても紹介します。

目次

  • BIMとは何か?
  • なぜBIMは重要なのか?
  • BIMの歴史
  • 現在の業界におけるBIM
  • BIMソフトウェアとは何か?


BIMとは何か?

BIMとは「ビルディング・インフォメーション・モデリング(Building Information Modeling)」の略で、建物の形状や機能を表すデジタルモデルを作成・管理するプロセスのことを指します。

BIMは異なる分野のプロジェクトチーム間で効率的かつ透明性の高いコラボレーションを促進するためによく利用されます。材料費、寸法、製品仕様、法規制への適合性などの情報が付加された共有の3Dモデルを使用することで、すべてのプロジェクト関係者がほぼリアルタイムで同じ情報に基づいて作業することができます。これはプロジェクトにとって大きな利点となります。

一見すると導入しない理由がないように思えます。ですが今日でも、まだBIMを導入していない実務者にとっては、BIMはストレスの原因となることがあります。BIMの導入を求める自治体やプロジェクトの発注者が増えており、また、コラボレーションの基盤としてBIMを活用するプロジェクトチームもますます増えています。

こうした流れの中で、BIMを学ぶことにワクワクしたり、自信を持ったりする十分な理由があります。今では多くの実務者たちがそのワークフローを効果的に導入し、成果を得てきたという長年の実績があります。

BIMの基本原則

インテリジェントな3Dモデリング:
BIMは従来の2D図面を超え、インテリジェントな3Dモデルを作成します。これらのモデルは単なる視覚的な表現ではなく、材料、寸法、エネルギー性能、ライフサイクルコストなどに関する豊富なデータを備えています。これにより、建築家、エンジニア、そして施工業者はデータに基づいた判断をくだすことができ、設計から施工に至るまでの正確性と効率性を向上させることができます。

協調的でシームレスなコミュニケーション:
BIMの最大の強みの一つは、クラウドベースのコラボレーションです。チームはもはや分断されたワークフローや古いファイルに頼る必要がありません。BIMを利用すれば、建築家、エンジニア、施工業者、施主など、すべての関係者がリアルタイムで更新情報にアクセスし、知見を共有し、変更を即座に調整することができます。これにより、エラーが減少し、効率が向上し、全員が最新のデータにアクセスできるようになります。

構造化されたデータと相互運用性:
BIMはまさにデータがすべてです。ワークフローは構造化されたデータを統合し、設計・施工・施設管理で使用されるさまざまなソフトウェア間の互換性を実現しています。この相互運用性により、ワークフローが効率化され、情報の分断を防ぎ、さまざまなソフトウェアがシームレスに連携できるようになります。コスト見積もり、干渉検出、エネルギー解析のいずれであっても、BIMはすべてのプロジェクトデータが相互に連携し、アクセス可能な統合環境を提供します。

BIMは従来の 2D CAD とどう違うのか?

まず第一に、BIMモデルは3Dであり、関係者が自分たちの作業内容やそれが周囲に与える影響を視覚的に把握できるようになっています。BIMのワークフローは、構造化されたコラボレーションとプロジェクト実行のための枠組みに基づいて運用されます。つまり、2D CADが主に製図ツールであるのに対し、BIMのワークフローは設計・施工から保守・施設管理に至るまで、建物のライフサイクル全体を支援します。スケジューリング(4D)、コスト見積もり(5D)、および性能分析を統合することで、より優れた計画立案と意思決定が可能になります。これにより、BIMは単なる建築設計のためのツールではなく、建物を長期的に管理するための包括的なシステムとなります。

 

なぜ Building Information Modeling(BIM)は重要なのか?

BIMはプロジェクトのライフサイクル全体を通して、すべての関係者が「唯一の正確な情報源(universal source of truth)」にアクセスできるようにします。これにより、より的確な意思決定が可能となり、最終的にはプロジェクトのコストと工期を削減することができます。

この利点は、設計、施工、建物の管理、そして解体といったプロジェクトのあらゆる段階にまで及びます。既存または建設予定の資産に関するこの中央集約的な情報源を持つことで、実際に物理的に実行する前に、デジタル環境で意思決定を行うことが可能になります。

下の図は、BIMワークフローの多くの利点のうちの一つを示しています。 矢印に沿って進むと、BIMが構造化されたプロセスであり、さまざまなプロジェクトチームが他のチームによって作成された情報に依存していることがわかります。これらの情報交換を明確に整理することで、プロセスが円滑になり、すべての関係者の時間とコストを節約できます。

BIM Project Lifecycle Infographic

この状況は、多くの建築・エンジニアリング・建設(AEC)分野の専門家に共感を呼び、BIMの人気が高まり続ける理由の一例となっています。

  • プロジェクトの建築家が、クライアントからの要望により、BIMを使用していない2Dソフトウェアで図面を修正する。
  • 建築家は、修正済みの2D図面を構造エンジニアに送付する。
  • 構造エンジニアは、修正された建築図面を手動で確認し、すでに自分たちが行った作業との干渉を発見する。
  • 構造エンジニアは、変更内容を反映させるために図面を修正・更新する。

 

この状況が、建築家とエンジニアがBIMを通じて協働している場合には、次のようになるかもしれません。

  • 建築家は、クライアントの要望により共有されている3Dモデルを修正する。
  • 構造エンジニアに、更新内容と干渉箇所が通知される。
  • 構造エンジニアは、修正内容がすでに行った作業と干渉していることを確認するが、最初からやり直すことなく、モデルの該当部分だけを修正できる。

 

これは基本的な例ですが、BIMによるコラボレーションの主要な特徴の一つ「関係者全員の修正作業にかかる時間を大幅に削減できること」を示しています。

BIMは設計の世界を変えつつある

実用的な利点にとどまらず、インテリジェントなBIMワークフローはより優れたプロジェクトの実現にもつながります。適切な管理とコラボレーション体制が整うことで、デザイナーはより多くの創造的エネルギーを自らの仕事に注ぐことができます。

例えば、Flansburgh Architectsは、マサチューセッツ州ボストンにある見事なHolbrook Academyを、設計プロセス全体でBIMを活用することができた最初のプロジェクトの一つとして完成させました。このプロセスの中で、彼らはVectorworks Architectを使用し、AutoCAD、Revit、Navisworksなどを使うコンサルタントと協働しました。

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統合された業界

明確に定義された協働と調整の仕組みがあることで、各プロジェクト参加者は、BIMプロセスに対応できるものであれば、自身が好むソフトウェアを使用することができます。

市場には、BIMプロセスのさまざまな段階を支援する多様なBIMアプリケーションが存在します。Solibri Model Checkerはモデルの調整や干渉検出に適しており、一方でVectorworksは建築家がプロジェクトを設計するのに適しています。課題管理、干渉検出、コスト見積もり、製品仕様、プロジェクト管理、工程管理、資産管理など、さまざまな用途向けのアプリケーションがあります。BIMのあらゆる側面に対応したアプリケーションが存在するため、自分の業務内容に応じて、どのソフトが最適かを判断する必要があります。

多くのBIMソフトウェアは、効果的なコラボレーションに不可欠なオープン標準ファイル形式であるIFC(Industry Foundation Classes)およびBCF(BIM Collaboration Format)をサポートしています。これらの非独占的なファイル形式は、ソフトウェアに直接統合されている場合でも、エクスポートを要する場合でも、AECの専門家がどのソフトウェアを使用しても、他の関係者と円滑に協働できるための主な手段となっています。

 

BIMの歴史

21世紀最初の20年間で、AEC業界にはデジタル変革が起こりました。業界がデジタル技術によって建物の設計、施工、運用、解体を改善できる可能性に気付き始めたことで、BIMの利用は急速に拡大しました。

手描き図面の作成が主流だった時代から、CADを使って図面を作成するようになった変遷と同様に、AEC業界がBIMワークフローへと進化してきたのです。現在ではCADからBIMへの移行が進んでいます。

BIMの起源は、1970年代後半にまでさかのぼります。Chuck EastmanはBuilding Description Systemという製品を発表しましたが、これは現在私たちが知るBIMの黎明期にあたるものです。1980年代になると、Building Description Systemに加え、GLIDE、RUCAPS、Sonata、Reflex、Gable 4D Seriesといった製品も登場しましたが、これらは非常に高価であったため、AEC業界で広く普及するには至りませんでした。「BIM」という用語が広く普及し始めたのは2000年代初頭になってからであり、その頃にはVectorworksのような企業が、より手頃に利用できるオーサリングツールを提供し始めました。

 

現在の業界におけるBIM

BIMワークフローがもたらす利点を考えれば、現在これまでになくBIMが広く普及しつつあるのも不思議ではありません。2025年版 AEC業界におけるデジタル技術動向レポートによると、調査対象となった回答者の68%がすでに自らの業務にBIMを導入していました。残りのまだBIMを導入していない回答者のうち38%は、5年以内に導入する予定であると回答しました。

さらに、BIMを導入した回答者の65%が、自社にもたらす投資対効果が現在最も高い技術トレンドはBIMであると報告しました。また回答者の35%は、クライアントからプロジェクトへのBIM導入について直接問い合わせを受けたと述べました。

2024年のAIA事務所調査によると、従業員数10人未満の小規模事務所におけるBIMの利用は、2019年から2023年の間に14%増加しました。

新型コロナウイルスのパンデミックがBIMの導入に影響を与えたことは、驚くべきことではありません。2021年版NBSデジタル・コンストラクション・レポートによると、調査対象者の69%が、パンデミックによってデジタル技術とデジタルな働き方の導入が加速したと回答しています。一方で25%は「影響はなかった」と答え、6%はパンデミックによってデジタル技術の導入が「むしろ遅れた」と回答しました。

 

BIMソフトウェアとは何か?

BIMソフトウェアは、設計や調整といったBIMワークフローの主要な一つ、または複数の側面を管理するのに役立つものです。

建築家が使用する設計思考のBIMソフトウェアには、設計者が構築物をデジタルで表現できる3Dモデリング機能が備わっています。この種のソフトウェアは、ジオメトリにデータを付加し、ドキュメント作成プロセスの一部を自動化することができます。

Solibri Model CheckerやReviztoといった調整用プログラムは、各ステークホルダーのモデルを一つのマスターモデルに統合し、課題を伝達するために、一般的にIFCおよびBCFファイル形式を使用します。これらのプログラムには、干渉検出解析を実行し、ユーザーが修正すべき課題を割り当てる機能があります。