本記事は、2025年12月15日に米国本社のNewsRoomに掲載された「10 TRENDS SHAPING THE FUTURE OF ARCHITECTURE」の完訳です。日本独自の加筆、修正を含みます。
2026年、建築家にとって新たな機会と課題が、テクノロジーの進化、サステナビリティ(持続可能性)への関心、そして変化する社会の期待によってもたらされています。これから注目すべき動向が「設計」「建築」そして「建築環境の再定義」にどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

BIMは、建築・エンジニアリング・建設業界を変革し、デザインの未来を切り拓いています。
BIMを活用することで、精度の向上、可視化の強化、そしてプロジェクトにおける協働を最適化するための重要なデータを備えた詳細な3Dモデルを作成できます。
BIMは従来の基本的な設計図書の作成を、より高度な協働型プラットフォームへと進化させています。今では自分のアイデアをチーム全体で共有するデジタルモデルに直接反映させることができます。これにより迅速な協働作業、正確なビジュアライゼーション、そして施工が始まる前段階での能動的な問題解決が可能になるということです。
Vectorworksの「2025 AECトレンドレポート」に向け、500人以上のAEC(建築・エンジニアリング・建設)業界の専門家を対象に行った調査では、68%がすでに自社の設計業務にBIMを導入していると回答しました。さらに、その導入者のうち65%が、BIMが自社にとって最も高い投資効果をもたらしていると述べています。
この動画では、BIMやVectorworks Architectのようなソフトウェアが、設計プロセス全体にわたってどのように効率性を高めるか、そしてこの強力なテクノロジーをどのように活用できるかを詳しく紹介しています。

人工知能(AI)は、建築のワークフローに急速に広がっています。今後5年間で、データを自動的に分析し、レイアウトを最適化し、さらに創造的な設計の代替案まで提案してくれるツールが登場するでしょう。それによって、繰り返し作業に費やす時間を減らし、より創造的なことに集中できるようになります。
前述のVectorworksの調査では、AEC業界の専門家は今後10年間でAIの大規模な導入が進むと予測しています。業界において、現在51%の専門家がAIは「ある程度に普及している」と評価しており、86.2%が今後10年間でAIが「ある程度以上に普及する」と予想しています。
例えば、VectorworksのAI Assistant(試用版)は、質問に対して文脈を踏まえた迅速な回答を提供し、創造的な作業に集中できるように設計されています。
新機能を学びたいときや、ちょっとしたアドバイスが欲しいとき、AI Assistant(試用版)は、公式のVectorworksコンテンツやリソースを基に迅速で信頼性の高いサポートを提供します。フィードバック機能と継続的なアップデートにより、この機能は使うたびに賢く、より個々のユーザーに合わせて進化していきます。
AI Visualizerは、Vectorworksソフトウェアで利用できる、もう一つの創造的なパートナーです。スケッチやデジタルモデル、テキストによる指示を、鮮やかなデザインビジュアライゼーションにすばやく変換することができます。また、デザインの方向性を探ったり、素材や照明のバリエーションを試したり、フォトリアルから水彩画風まで、さまざまなスタイルの魅力的で印象的な画像を使ってクライアントに対し、アイデアを効果的に伝えることができます。
古い建物は、新たなデザインの骨格となり得ます。
アダプティブ・リユースによって、建築家やインテリアデザイナーは歴史的建造物を再解釈し、既存空間が持つ個性と革新的なデザインを組み合わせることで、新たな命を吹き込みながら廃棄物の削減も実現しています。
アダプティブ・リユースは、未来を見据えたデザインを行いながら、過去に敬意を払うための絶好の機会です。
アダプティブ・リユースに3Dデザインソフトを活用する方法については、こちらをクリックしてご確認ください。

画像提供:Lacaton & Vassal、Gaëtan Redelsperger、Quartus Residentiel、および Le Bureau Jaune
ジェネレーティブ・デザインとは、プロジェクトの初期段階でアイデアを喚起するために、ビジュアルプログラミングやスクリプトを活用する手法のことです。ルールを設定し、パラメータを調整することで、さまざまな選択肢が形となって表れてきます。手を動かし試行錯誤を重ねる探索的なプロセスです。生成を導き、その結果として、自分一人では到達し得なかったような多様なバリエーションが得られます。
このアプローチは創造性を高めますが、人間の判断に取って代わるものではありません。あなたの代わりに考えるのではなく、発想のプロセスを支援してくれます。これは、意思決定を予測したり自動化したりすることを目的とした多くのAIツールとは一線を画しています。

画像提供:Alchemy Architects

サステナブルなデザインは、単に適切な素材を選ぶだけではなく、より包括的な視点を持つ必要があります。それはプロジェクトがその場所や利用する人々にどのような影響を与えるのかを全体的に捉えることを求めています。そのためには、建物に含まれるエンボディドカーボンの追跡、建物のライフサイクル全体における性能の理解、そして建設および長期使用が周囲の生態系に及ぼす影響を測定することが含まれます。
生物多様性も、同じ枠組みの中に位置づけられます。敷地造成、水の流れ、植栽の選択、さらには照明でさえ、地域の生物種を支えることもあれば乱すこともあります。これらの要素を最初から設計プロセスに組み込むことで、プロジェクトは単に被害を減らすだけでなく、失われたものを回復し、将来のためにより健全なランドスケープを生み出すことができます。
世界中の人々がサステナブルな目標の達成を目指す中で、Vectorworksのエンボディドカーボン計算ツール(VECC)のようなツールは、極めて重要な存在になっています。
VECCとその機能を活用することで、プロジェクト初期段階の炭素排出量の推定値だけでなく、精度の高いデータベース値に基づいた後期段階の炭素データも、信頼性高く算出することができます。
サステナブルな設計に対する解析の需要が高まっており、特に、AIA 2030コミットメントやRIBA 2030クライメイトチャレンジといった気候戦略の期限が急速に近づいている今、その傾向はいっそう重要性を増しています。実際 Vectorworksの2025年AECトレンドレポートに参加したAEC専門家の約半数は、まだサステナブル設計解析ツールを導入していない場合でも、今後5年以内に導入する予定だと述べています。

画像提供:遠野未来建築事務所
また、木材や版築などの自然素材への関心も再び高まっています。
これらを採用することで、サステナビリティを高め、より温かみのある美観を提供し、より厳格な規制に対応するとともに、高まるグリーンな解決策に対するクライアントの意識にも応えることができます。美しさと、より小さな環境負荷を両立させることがすべての核心にあります。
自然素材を用いた建築デザインの好例として挙げられるのが、遠野未来建築事務所の「Oyaki Farm(おやきファーム)」(上図)です。
この建物は、主にスギとヒノキを用いた「準耐火木材」で造られています。版築壁のトップライトに加え、自然換気を誘うハイサイドライトの窓、そして屋根からやさしく流れ落ちる雨水までもが、空と大地を結びつける媒介として機能しています。それにより、建物のCO2排出量削減においても重要な役割を果たしています。

テクノロジーの進化に伴い、デジタルツインはますます普及しつつあります。建築家にとっての主な価値は、運用時に活用できる、詳細かつデータに富んだモデルを提供することです。このモデルは、建物のライフサイクル全体の「基盤」として機能し、長期的に非常に大きな価値をもたらします。
建物や設備の仮想モデルであるデジタルツインは、現実の対象物を反映し、センサーやカメラ、その他の接続システムから得られるデータを活用して、建物所有者に施設の最新情報を提供します。デジタルツインを用いることで、建物の性能をリアルタイムに把握し、注意が必要な箇所を特定し、そのライフサイクル全体を通じて、維持管理や運用に関するより賢明な判断を行うことが可能になります。

インターオペラビリティは、建築やBIMのワークフローにおいても中核的な概念であり、各メンバーがどのソフトウェアを使用しているかに関わらず、プロジェクトのデータやモデルをチーム間で共有できるようにしてくれます。
Vectorworks Architectで作業する際、IFCのようなオープンスタンダードを活用でき、これによりジオメトリ、材料、コスト、適合データなどを含むプロジェクト情報の共通言語として機能します。この柔軟性によって、エンジニア、コンサルタント、施工業者、クライアントと効率的に協働でき、データ損失やプロジェクトの遅延を心配することなく、アイデアをリアルタイムでつなげることが可能になります。
Vectorworks Architectは、AutoCADやSketchUpよりも多様なインポート/エクスポート機能を提供しています。

画像提供:i29
これまで以上に、居住者のウェルビーイング(快適さや健康)に焦点を当てることで、あなたのデザインは形づくられています。
例えばバイオフィリックデザインは、自然の要素や光を建築空間に取り入れ、屋内と屋外の境界をあいまいにすることを目指す思想です。緑や自然な質感、有機的な素材などの要素を取り入れることで、屋外にいるかのような感覚を呼び起こす空間を生み出すことができます。
バイオフィリックな要素や自然光の活用、さらには音響の最適化などを通じて、日常生活を支える思慮深い選択を行うことで、心身の健康に影響を与えることができます。
ARとVRは、クライアントや共同制作者にアイデアを提示するための標準的な手法になりつつあります。人々をリアルな3D空間に案内し、その場で仕上げや照明を調整し、施工が始まる前にフィードバックを集めることができます。この技術は、クライアントのビジョンと期待のギャップを埋めるのに役立ちます。
例えば、Meta Quest 2用に作られたバーチャルリアリティビューアアプリVectorworks Odysseyを使うと、俯瞰的な視点で没入型のモデルを体験することができます。
Vectorworks Odysseyの可能性について詳しく知るには、以下の動画をご覧ください。

これらのトレンドを取り入れることで、2026年以降の建築における可能性を再定義することができるでしょう。好奇心を持ち続け、大胆に試し続けて、人々が住みたくなる空間をこれからも形づくり続けてください。
掲載画像提供:遠野未来建築事務所