本記事は、2025年12月12日に米国本社のNewsRoomに掲載された「4 LANDSCAPE ARCHITECTURE & SUSTAINABILITY TRENDS TO WATCH IN 2026」の完訳です。日本独自の加筆、修正を含みます。
ランドスケープアーキテクチャ業界は、気候配慮の責務、より高度なテクノロジー、そして強靭な都市デザインにこれまで以上に焦点を当てながら、2026年へと進んでいます。各企業は、素材の使い方、ワークフロー、そして長期的な生態系への影響について見直しています。優れたランドスケープデザインの基本原則は変わらない一方で、その実現に使われるツールや戦略は急速に変化しています。
2026年にランドスケープアーキテクチャ、およびデザイン業界で注目すべき4つのトレンドを見ていきましょう。
改訂されたASLA(アメリカランドスケープ協会)の気候と生物多様性に関する行動計画は、現在のアメリカ国内での動きを大きく後押ししています。ASLAは、2040年までにプロジェクト設計において、温室効果ガスの排出削減、生物多様性の保全、炭素隔離など、さまざまなサステナブルな戦略を実施することを約束しています。これにより、企業は素材の調達方法、環境負荷の測定手法、プロジェクトの初期から完了までの管理プロセスを根本的に見直すことを迫られています。この計画は、包括性と多様性を中心に据え、サステナビリティと公平性を結びつけています。
イギリスでは、「カーボン・バジェットおよび成長実現計画(CBGDP)」によって、2050年までにネットゼロを達成する目標が定められています。この計画は2025年10月に発表され、政府が排出量を削減するために策定したさまざまな政策を示しています。また、制定された「生物多様性ネットゲイン(BNG)」の規定により、デザイナーは自らのプロジェクトが環境に与える影響を考慮することを求めています。これら政府の施策により、イギリスは環境負荷削減の分野で世界をリードする存在としての地位を確立しています。
世界中の組織が、意欲的な行動計画に取り組むことを約束しています。これらの組織は、よりサステナブルなデザイン戦略を推進し、場合によってはそれを義務づけています。他の組織としては、イギリスのランドスケープ協会(Landscape Institute)、オーストラリアおよびニュージーランドのランドスケープアーキテクト協会(Institutes of Landscape Architects)、カナダ・ランドスケープアーキテクト協会(Canadian Association of Landscape Architects)、そして日本のランドスケープアーキテクト連盟(Japan Landscape Architect Union)があります。
私たちのチームを含め、多くのチームが、Vectorworksのようなツールがこれらの目標をどのように支援し、または整合させることができるのか、そしてデザイナーが新たな期待に応えるのを、どのようにサポートできるのか検討しています。最新バージョンに搭載されたサステナビリティダッシュボードのようなツールは、こうした取り組みに対する当社の強いコミットメントを示しています。

業界全体で、生物多様性と在来植物の植栽は、引き続き重要な優先課題となっています。デザイナーは、資源を多く消費する手法から離れ、生態系への調和、長期的な健全性、低メンテナンス性、そして気候へのより高い配慮に重点を置くようになっています。また、素材の再利用が注目を集めています。新しい石材や木材を調達するのではなく、すでにある素材を創造的に修復したり再利用したりすることで、プロジェクトにおけるエンボディドカーボンを削減しています。

水資源管理も、2026年の主要なトレンドのひとつです。気象現象がますます激化し、地域社会が洪水リスクの高まりや水不足に直面する中、ランドスケープアーキテクトはデザイン主導の解決策で対応しています。レインガーデン(雨庭)、バイオスウェル(緑溝)、雨水貯留システムなどの敷地内で行うさまざまな対策が標準的なものになりつつあります。専門家は、水資源管理の実践に関するセミナーや研究に時間を費やしており、Vectorworksがこの分野の取り組みをさらに深いレベルで支援できるよう、どのように進化すべきかについての議論も続いています。

Vectorworks Landmarkで設計されたバイオスウェル
土壌の健全性、水の使用量、その他の性能指標を追跡するセンサーはまだ新しい手法ですが、すでに一部のプロジェクトで導入され始めています。デザイナーは、再利用素材とセンサー技術を組み合わせることで、サステナブルな選択が時間の経過とともにどのように機能するのかを、よりよく把握できる可能性があると考えています。導入はまだ初期段階ですが、このデータと素材への意識を融合したアプローチが、次世代のランドスケープ性能分析の方向性を形づくる可能性があります。
スポンジシティの概念に対する国際的な関心が高まっています。従来型の都市計画モデルを超えようとするデザイナーたちの関心を集めているのが、都市のレジリエンスや雨水管理に焦点を当てたコンペティションです。同時に、ドローン技術もより重要性を増してきています。ドローンには、特に温度マッピングを専門とする企業との協力を通じて、ヒートアイランド緩和の取り組みを支援できる大きな可能性があります。
2026年の動向はどれも同じ考え方を示しています。ランドスケープアーキテクチャは、気候レジリエンスにおける役割を拡大しつつあるということです。各企業は生態学的な知見とデジタルツールを融合させ、長期的な成果に焦点を当てながら、実際の環境課題に応答するデザインを構築しています。この分野の取り組みは、より統合的になり、データへの意識が高まり、さらに地域社会への配慮を重視するようになっています。来年は、これらのツールや手法をさらに洗練させ、大胆な目標を明確な実務標準へと変えていくことが、業界全体に求められるでしょう。